ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
Temporary Exhibition Gallery Permanent Exhibition Gallery Cafe Outline & Access Momogusa Original Masanobu Ando's Work Akiko Ando's Work Published Momogusa Blog.
   

 

 





   
   
     
  暮らしの造形展 Z
岩谷 雪子 冨沢恭子

 

 


2017.3.4(土)− 3.20(月・祝)
11:00 − 18:00
会期中無休

作家在廊日|3.4(土)5(日)

 

 

◎イベント トラネコボンボンお食事会 (予約制)

 
 

岩谷雪子さん冨沢恭子さんのおふたりに縁の深いトラネコボンボン中西なちおさんが百草カフェに来てくださいます

日時 | 3月4日(土) @12:30〜 A14:30〜

     3月5日(日) @12:30〜 A14:30〜

会場  | ももぐさカフェ

定員  | 各会 16名

参加費 | 3000円

※お客様がお揃いになってからお料理をスタートしますので、必ずお時間に遅れないようにご来店ください。

ご応募方法 : メール受付のみ(申込多数の場合は抽選とさせて頂きます)

1.件名は必ず「トラネコボンボンお食事会希望」として下さい

2.本文に氏名・希望日時・携帯電話番号・住所・メールアドレスをご明記下さい

以上をご確認の上、momogusa@momogusa.jpまでメールにてご応募下さい

 

注意事項

・ご応募はお一人様一回限りとし、一通につき一名様のみのご応募となります

・記入情報に不足や誤りが見受けられるご応募につきましては、無効とさせて頂きます

・ご当選者様のみメールにてお知らせ致します 落選のお客様にはメールをお送り致しませんのでご了承下さいませ

 

応募期間:2017年2月23日(木)0:00から2017年2月24日(金)18:00まで

当選発表:2017年2月27日(月)

※ご応募の際はmomogusa@momogusa.jpからの受信ができますよう設定をお願い致します

 
 

 

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  素材との戯れ
百草 安藤雅信
 
     
  「暮らしの造形展」は、一作家の制作の幅を、機能的なもの(器・バッグなど)と機能を取り払った彫刻・絵画的なモノで見せることが目的である。20世紀までは西洋美術の影響から、彫刻や絵画など美術が上で工芸が下というような階層があったので、両方を作る作家は食器制作を隠したり、工房名にして、作家の価値を下げないよう配慮していた。それに違和感を覚え、フラットにそれらをつなげようと試みてきたのが生活工芸である。それは芸術的な高みを目指さず、上下もカテゴリーもない多様性を掬い上げる共感の輪である。  しかし、昨今美術の階層秩序など何処吹く風、焼物への関心が現代美術方面の方達の間で高まっていると聞くし、工芸作家たちもオブジェなど美術指向ではなく、「作用」(吉祥寺OUTBOUND小林君提唱)と呼ばれる道具ではない造形物を作り始めた。道具と造形物の関係性について小林君曰く「物理的な補助を目的として作られた道具は、情緒的な関わりに於いて心に作用し、特定の用途を前提としていない造形物も、受け手の見立てにより機能をもたらしてくれると考えます。両者は峡谷の両岸に置かれた対立する二極ではなく、一方は常に他方の性質を帯びつつ、同時に連続的な差異のグラデーションで繋がった地続きの関係といえるのではないでしょうか。」と。これは作り手が素材と関わる中、機能と作用の隔てがなくなり、その間を行ったり来たりして制作するようになったことを表している。素材の追求は工芸の本領であり、20世紀はそれに技術力を付け加えて自己表現としていたが、新しい世紀になり、表現は目的ではなくなり、素材と戯れる過程や、個人の感性の先を匂わせる暮らしの発露になったということだろう。これも生活工芸の次なる展開だと思う。 今展紹介する二人は、根気の良さと繊細さを活かした道具の仕事も面白いが、造形物の仕事にある種の新しさを感じる作家である。素材の活かし方と作られた形が、男性のダイナミズムとは違い、深い愛情と細やかさで成り立っているところが二人の共通点であり、魅力となっている。  岩谷雪子さんの植物の仕事は、数度百草で紹介してきたが、造形の作品に目を見張るものが増えてきた。植物を加工せず使用するので素材の特性が目立ってしまうが、それを押し込めて形に仕上げることで、逆に素材への関心を惹きつける。素材と形と技術が三位一体となり、より美しさが引き立っている。作品制作は必ず現地に赴いて植物採集し、また生きたままの植物にも僅かに手を加えて、そこを通り過ぎる人の流れている時間を一瞬切り取り、自然との関わりを持たせている。箒も造形として美しく機能も優れている。植物との関わりを、美術から道具まで幅広く昇華させられる稀有な作家である。  冨沢さんは古道具屋で酒袋と出会い、主に柿渋染めの布で制作を展開している。韓国で調達した布を、太陽の光の反応を見ながら染め、艶や色の濃さを計っている。オリジナルの酒袋の魅力を様々な角度で見つめ、それを技術的に再現する事に止まらず、布を育てるように手で裂くことで布のあるべき姿を作り出しながら縫い上げている。一見荒々しく見えるが、最もその素材の自然の成り立ちとなるよう、表現や装飾を削ぎ落としながら完成へ向かう。袋や鞄にもその感性は充分活かされているが、造形物の布偶になった時、布や染であることさえ忘れさせる程、別の表情をまとっていた。頭でっかちの男達を他所に、しなやかな感性を持つ女性達の仕事の発展が楽しみな今後である。
     

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岩谷雪子
Yukiko Iwatani
◇箒とオブジェ

1958年 札幌生まれ。小学校時代を雪国で過ごす。
1977年 武蔵野美術大学日本画科に入学。人を描くのが苦手で、植物や動物、月などを主に描いていた。
現代美術の洗礼を受け、難しい事を考え過ぎて、卒業後作品が作れなくなる。
1982年 結婚して高知へ。ギャラリーに勤めながら、自分でも何か作る事ができないか自問自答の日々。
一九九一年 関島寿子氏のワークショップを受講。「編む」という行為を取っ掛かりに制作を再開。
1993年 勤めを辞め、制作に専念。使える道具と、アートとしての作品を並行して作る。
1999年 シンプルなデザインで使いやすい箒が欲しくて、箒を作り始める。
現在は、植物でのアートとしての制作が主になってきている。 展示場所の近くで植物を採集し、植物をいじっているうちに彼らが見せる思いがけない姿にはっとさせられた時、その印象を損なわぬよう、できるだけシンプルな方法で作品にするよう心がけている。

 
   

冨沢恭子
Kyoko Tomizawa
◇かばんと布偶

1979年 埼玉県生まれ
2004年 武蔵野美術大学大学院 工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻修了
柿渋染め作家/sunuiとしても活動
体育・音楽・図画工作を得意とする子供時代を経て、中1で父の仕事の都合で突然メキシコへ。民芸品の鮮やかな色使いと、対照的なマヤ・アステカの遺跡群に囲まれラテンな4年間を過ごし高2の夏に帰国。柿渋染めをはじめたきっかけは、大学2年の頃に古道具屋で出会った「酒袋」。染め重ねられた柿渋の独特な表情に魅了され、以降なんでもかんでも柿渋で染めながら大学生活を送る。染めることで繊維を強くする柿渋の力を今の生活に落とし込むなら袋ものだと思い、卒業してからはかばんを中心に制作。(数字が苦手なので)パターンは使わない。染め上げたゴワゴワの布を傍らに積み上げ、そのたくましい表情を追ってミシンで縫い立ち上げながら形にしていくためそのほとんどが1点もの。年齢性別問わず使ってもらい、穴があいたら繕い、重ねて染め、いつか見た酒袋のような道具に育ったらいいなと思っている。
http://www.sunui.jp/tomizawakyoko.html

 

  Flyer designed by Hedeyuki Saito
Photographed by Shoji Onuma

 

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