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糸・布・衣展 XIII
「糸・布・古道具」

mon Sakata + yamashita kaban + momogusa

2023.11.18 sat–12.3 sun
11:00–18:00

11.21 tue, 29 wed休廊
作家在廊日11.18 sat

「糸・布・古道具トーク」坂田敏子・山下カオリ・安藤明子

2023.11.18 sat 14:00より
百草にて・予約不要

今回展に寄せて

坂田敏子

安藤明子さんと始めて13回目。2年おきに続けて来ました。これは一重に明子さんの情熱によるもの、と私は思ってます。今回も九州、福岡の山下さんをメンバーに楽しい展になりそうだ!
17、8数年前「福岡の風」が吹き始めた頃、「アートをたずねる旅」という大きなイベントをきっかけに、多くのつながりを持つことが出来た。
山下さんとは、沼田みよりさんが主催したmon Sakata展で服を購入してくれたことから親交が始まりました。
2011年以前、私の着古した服から、山下さんにバッグを制作して欲しいとのオファーがあり、これがコラボのスタートとなる。(早良区梅屋さん)

2011年  「フロシキ・ザブトン」展 mon Sakata
     「フロシキ・ザブトン」展 山下カバン
2021年  「布のアレコレ」展 mon Sakata(明子さん 手拭いで参加)
2022年  「combination」展 山下カバン(明子さん 手拭い他で参加)

その都度、あるがままの残布や、服を引き受けてもらい、制作した袋やエプロンが生まれました。

この展覧会とは関係ないが、夫は山下カバンの布のバッグが気に入り、同じものを3つもっていた!最近片付けをしていたら3つ目のバッグを見つけた。うれしかったと同時に、使われていないままとわかり悲しくもあったが、ななめがけにして歩いているなつかしい姿が目に浮かんだ。間近に控えた時に見つけたことは、きっとこれはエールに違いないゾ。

皆様どうぞ足をお運びください!

山下カオリ

坂田敏子さんとの出会いは、20年近く前に福岡のアッシュさんでmon Sakataの服と出会い、一目惚れ。その時買ったカーディガンは色褪せことなく今も現役。

それから敏子さんとお会いする機会もあり、九州福岡で展覧会の際は吉井町にも足を運んでいただき、山下カバンにも。度々女子会も笑。
敏子さんの選ばれる古道具は、特に私の思い入れのあるものばかりで、それはmon Sakataの服を好きな私の感覚に似ているのかなぁと思ったり。

お仕事でご一緒する機会もいただき、佐賀の梅屋さんでは、大切に着古したお洋服をリメイクしてバックにしたり、巡回展では風呂敷きとザブトン展・布アレコレ展を開催して、昨年の12月はcombinationというテーマでmon Sakata展をさせていただき、百草の明子さんにもご一緒していただき、楽しい展になりました。
山下カバンの古いアパートの空間に古道具を並べるようにお洋服や布小物を設営して、思いがけずお二人に喜んでいただいてホッとしたのを覚えています。
そして、明子さんよりcombination展を百草でとお話しいただき、今回什器や古道具を集めてみました。
布作品も今回少し、三人三様の作品と空間をお楽しみに。

プロフィール

坂田敏子〈mon Sakata〉

目白の古道具坂田の一角を借りて子供服の店をオープンしたのは1977年3月6日啓蟄。
ベビー服というとピンクやブルーといった決まり切った色なものばかり。シックな色が欲しかったので下着や靴下を知人に染めてもらったり、花柄のベビーパンツや手編みのカーディガン等を揃えて販売する。そのうち子供服を買うお母さんから大人服もというリクエストが増え、シンプルなゴムパンツやTシャツの婦人バージョンを作り始める。一坪では場所も狭くなり表通りの現在の店舗に移転。業界を全く知らなかったのでなんでも新鮮でチャレンジだった。

大きなイベントに参加の声が掛かったり、ギャラリーさんからのオファーが増えてきました。その頃はニットで特徴を打ち出していて、まだウールに麻を引き揃えで編んでいるところがなかったせいか地味ではありましたがその風合いは一握りのファンの方々に支えられて続けていました。

そんな時DMのニットを見て興味を抱いてくださったのが安藤明子さんでした。安藤雅信さんは古道具坂田に来てくださっていて、うちのDMをお土産がわりに持ち帰っていたのです。

丁度as it is を建ててまもないころ、そちらも手伝わないといけない時でしたが、mon Sakata の未来のためにギャラリーさんでの展示会活動に舵を切ることになります。

その始まりとして、97年3月6日、mon Sakata での第一回「糸布衣展」を開催致しました。丁度20周年でもあったので記念展として、古布のサロンや袋ものニットの3人展でした。
99年の二回目以降は百草にバトンを引き継ぎ、今年12回目をむかえることになりました。
その都度色々な作家さん達とご一緒させていただいてます。

前回は盛岡でホームスパンを織られている舞良さんとのコラボとなりました。
mon Sakata 定番デザインのコートを、舞良さんのホームスパンを用い同じ仕様で、最後にウォッシュの工程も加えて仕上げさせてもらいました。かなり覚悟がいりましたが、軽く体に馴染み、ホームスパンの良さが伝わってきました。 

こうして糸や素材を知る事を45年近くも続けてきました。

また各地のギャラリーさんの展示会では服の販売だけではなく、糸くずや布のインスタレーションをさせていただいてます。as it is はじめ古い工場や倉庫などでのインスタレーションの記録が本「編む・つなぐ-糸のヨリミチ」に掲載されております。
「40th 2017 3.6 mon Sakata」はカラフルで楽しいニット作品の写真集です。
色の組み合わせは無限です。

— 著書
「Sanmarutenjiku Fit T」
写真 奥秋貴子 / デザイン 山口デザイン事務所

「編む・つなぐ-糸のヨリミチ」
編集 小坂章子 / デザイン 山口デザイン事務所

「40th 2017 3 .6 mon Sakata」
写真 奥山晴日 / 編集・デザイン 山口デザイン事務所

山下カオリ〈yamashita kaban〉

1972年福岡に生まれる。3人兄妹の末っ子。一人娘だったからか、子供のころ父から買っても らった洋服は、デパートで高価なものを購入してくれて(貧しかったけど)着せてもらっていた 記憶。生地を好きになったのは、父のおかげかも。 中学生の進路で、美術と家の間取りを見るのがすごく好きでデザイン科の高校を目指して、 デッサンがんばったけど落ちて(頭も悪かった)、地元の普通科へ。高校の頃の思い出はほとん どないけど、体育祭の時、組別で大きなパネルに絵を描くのに参加したのは覚えている。やっ ぱり絵が好きだったのか。 高校卒業後、九州デザイナー学院のインテリア科へ。土器典美さんの家と暮らしに憧れてい た 。そ の 頃 か ら 、雑 貨 や ア ン テ ィ ー ク な ど に 興 味 が 湧 い て き た よ う に 思 う 。 卒業後、車の免許を取って色々お店巡りをしていたところ、イギリスのアンティークショップで バイトに誘われる。販売と修理もやらせてもらっていた。だからか、家具職人になりたくなっ て、長野の職業訓練校に行こうと思っていたが、家の事情で断念。 その頃、未だ親友のIさんに、可愛いセルロイドのカップをプレゼントしてもらい、買ったお店 を聞いたらUNTIDY(アンタイディ)というお店で、衝撃だった。店主の柏原さんが、仕入れか ら 戻 っ て 来 ら れ る と 、す ぐ 来 店 し て は 、い つ も 舞 い 上 が っ て い た 。今 で も 大 好 き な お 店 。 その頃、私の集めた古道具もたまってきたので、UNTIDYさんの近くの当時好きだった洋服屋 さ ん の 横 で ス ワ ッ プ ミ ー ト に 参 加 。 そ し て 、 洋 服 屋 さ ん に リ メ イ ク の バ イ ト に 誘 わ れ る 。( ミ シ ン は中学生以来未経験だったのだけど...)それから、デザインや生産などを任され4年後に退社。 せっかくミシン覚えたしと思い、中古のミシンを購入。骨董市にも出店するようになり、その時 に、手作りのバックなども出すようになる。そこで、UNTIDYさんのお客様が柏原さんに、「山 下さんがこんなの作ってるよー」と紹介してくださって、UNTIDYさんでバイトしながらバック 作りが始まった。 しかし、まだ漠然と作っていたので、バック作りの基本もないし、どうしようかと考えた時にフ ランスの蚤の市で買ったかばんとポシェットをお手本にしながら見様見真似で作っていた。そ の頃は、古い布ばかりで作っていた。 福岡では、UNTIDYさんはじめマルチェロさんや村上レシピさんで、展覧会をさせていただく。 そう、吉井町に行きはじめたのもUNTIDYさんに出会ってぐらいからか。古道具を扱われてい た四月の魚さんが好きで、そのためだけに吉井に行っていた。自然もよかった。 四月の魚さんにも度々通っていたら、吉井町のとある場所でカフェをするからと、作業場も貸 してくれるという条件で、カフェを手伝うようになる。福岡と吉井の半分半分の仕事の始まり。 それから2年半ぐらいが経って、今のアパートを見つける。自然とお店をする流れになり、4 ヶ 月かけて手伝ってもらいながら改装して、2007年に山下カバンをオープン。 高知のboncoinさん、東京のmon Sakataさん、金沢のfactory zoomerさん、香川の空とたねさん、 京都の村上椅子さん、大阪のSajiさん、吉井町の四月の魚さんで、展覧会をさせていただく。 山下カバンは、古道具とかばんのお店だけど、大好きな方々の素敵な作品も置かせていただけるようになり、本当に出会いに感謝です。

糸・布・衣展XIII 「糸・布・古道具」

昨年12月、雰囲気のある古いアパートの空間に古道具を並べるようにお洋服や布小物を設営された山下カバンさんの展示が本当に楽しく素敵でした。そこで新しい試みで「次回の糸布衣展はcombination展の続きを」と坂田敏子さんと山下カオリさんにお願いしました。百草用に「糸・布・古道具」というタイトルを3人で考え、山下さんはなんと九州からフェリーで三往復して下さり、什器や古道具を集め運んでくださいました。また設営にもいらしてくださいます。
糸布作品とは、それぞれに糸や布を用いた作品。出来上がった形は服であったりエプロンであったり、また多用途の布やオブジェのような作品も。
糸と布、古道具が仲良くおさまった空間に、一周忌を迎えられた坂田さんがニコニコ笑顔で見守ってくださるような展示になれば、と思います。
momogusa 安藤明子

1995年12月、安藤が初めて古道具坂田をお訪ねした時、坂田さんが1993年のカレンダーをくださり、安藤は店内に「ご自由に」と置いてあったデザイナーで洋服屋さんの奥様のDM、mon Sakata「ニット展」と書かれたハガキを私にお土産にと持ち帰ってくれた。マットな紙質の白バックにニットが平置きしてある切り抜きの写真、DMのデザインもニットそのものもクルンとなった袖口や裾のディテールも、全てが完璧だった。

92年に多治見に嫁いでから、日常の衣服をどうしようかという問題から衣生活をテーマに、子ども時代からの、型紙を作らず、在る布または無駄の出ないよう裁断した布を構成して作るやり方での日常服制作を試行錯誤していた私は、その頃はほぼコンセプトを固め、素材を変えて制作する定型の服/年齢性別フリーの体型を問わない服/着物の精神を引き継いだ現代のハレにもケにもなる服/素材は古今東西の布(スタートは古い着物を解いた布だった)/小幅地の布での構成などの今につながる要素で上衣やサロン(筒状のスカート)を作り始めていた。
そのmon Sakataニット展のDMを一目見るや、運命を感じた、というと大袈裟かもしれないが、たまに働く直感から、この方に作っている衣服を見ていただきたい、とすぐさま思った。ニット展と書いてあったので坂田さんの奥様は洋服屋さんでデザイナーでもあり、ギャラリーでもあるということか?と混同してしまっていた。その頃はインターネットももちろん携帯も無い。電話か、足で行ってみるしかないのだ。


1996年3月、後から思うと呆れ果てるしかないのだが、古道具坂田にて開催されていた「マダガスカルの木彫とピグミー族のタパ展」をお手伝いにいらっしゃっていた敏子さんに、古道具坂田の店先で、非常識にも風呂敷包みを広げて制作品を見ていただいたのだ。その間、安藤は一歳になる長女を抱いて見守ってくれていた。優しい敏子さんは無碍に追い返すことなく色々アドバイスをくださった。ちょうどその時、偶然にもまるでタパ柄のような昭和40〜50年代のウール着物を解いて作ったサロンを履いていた。そのサロンが結んでくれたご縁かもしれない、と今も不思議に思う。

数ヶ月後、丁寧なお便りとともに、翌年3月に迎える20周年記念展に参加しないかという勿体無いご提案をくださり、すぐにお話を伺いに上京した。その時に初めてTシャツとシルクブークレのニットのストールを購入した。

1997年3月、目白のmon Sakataにて、「糸・布・衣展」というタイトルでmon Sakata20周年記念展が、古道具坂田では同日より「オランダ白釉陶器展」が開催されていた。
展示から初日、二日目・・とにかく熱い数日間だった。そしてその数日間に、のちに百草でお世話になる主要な登場人物のほとんどの方を、敏子さんと坂田さんからご紹介いただいた。安藤は運命のデルフト皿に出会う。

その頃移築の準備が進んでいた百草の開廊が1998年10月。第二子の出産を挟んでの多忙な日々であったが、妊婦健診には必ず、ほどきかけの着物とリッパーを布袋に忍ばせ待ち時間手を動かし、義両親と同居していたおかげで子守をしてもらい、自分達がやりたいことを実現したいという情熱に溢れていた。

坂田和實さん敏子さんご夫妻が、開廊日の二日目に全く予告なしに百草にいらして下さり、まだ右も左も分からない私共を敬愛するお二人が励ましてくださった。そのおかげで百草の今が在り、全ての出会いが繋がり、本当に感謝に耐えない。

1999年4月、柿落としの企画展から三つ目の企画展にて、mon Sakataの続編という形で引き継がせていただき「糸・布・衣展Ⅱ」を開催。以降24年間、ほぼ毎回ゲストを迎え今回13回目となった。 二回、プロデュースに入って頂き古着と共にスタイリング、映像や音楽を交えたファッションショーも行った。

山下カオリさんとの出会いは、2006年3月。福岡の沼田塾での「生活の宝もの ‘06啓蟄」で。沼田みよりさんもmon Sakata 20周年で出会った方のお一人。百草開廊後に来廊くださり、敏子さんの文章にある「福岡の風」の少し前から、いちばん先に福岡で布製品やサロンを広めてくださった恩人。警固神社での沼田塾展覧会の中で福岡の感性の良い若い作家たちの作品を紹介されていた時に、嫌いなところがない(布も縫い始末のディテールも全部好きな)布カバンに出会った。その時から憧れの人だった山下カオリさんと、目白でよくご一緒することが多くなり、そして高知や四日市でも。いつの間にか新たに出会う(ということは惹かれ合って出会うと信じている)方々が、お付き合いの続いている好きな方々と網の目のように繋がっていった、というか繋がりがあったことを知る。

坂田敏子さんと山下カオリさんとの出会いと関係、ご一緒された展覧会・コラボレーションについてはお二人が書いてくださっていますので割愛いたします。

安藤明子

〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16
多治見ICより車で10分
JR多治見駅より東鉄バス13分「高田口」下車1km
tel. & fax. 0572 21 3368
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ももぐさカフェ
「糸・布・古道具」限定メニュー ほか
11:00–18:00 (L.O 17:30) メニュー・席の予約不可

スケジュール
12.9 sat, 10 sun 交種茶会(菓子屋ここのつ・安藤雅信)
2024.1.20 百草冬百種展「湯浅景子 絵画展」