10.23 mon, 24 tue, 25 wed, 11.2 thu休廊
ご好評につき、1階の古道具坂田、鯉江良二さんの展示、 2階の資料展示、そして一部の今展参加作家の作品は11月13日(月)までご覧いただけます。※7日(火)・8日(水)休廊
百草1階: 鯉江良二、古道具坂田(非売)
百草2階: 伊藤慶二、三谷龍二、辻和美、内田鋼一
皆川明、矢野義憲、金森正起
百草25年を振り返って(資料展示)
作家在廊日はございません。
一部の作家は10/22(日)に在廊及び青花の講座に参加されます
古道具坂田
鯉江良二
25年前、百草を開廊するにあたって美術と工芸の壁をなくすというテーマを掲げ、伊藤慶二さんに柿落としの展覧会をお願いした。オブジェ(彫刻)、食器、文具、書など多様な作品群を作家自身がインスタレーションし、時と共に流れる光と日本家屋の特質を活かす展示となった。それは多芸多趣味・孤高性・アマチュアリズムなどの特徴を持つ文人趣味が、一部の工芸作家の中に残っている証明でもあった。権威・権力に寄っていかず、在野であり続ける姿勢はまさしく文人趣味の流れで、慶二さんが薫陶を受けたデザイナー日根野作三の影響は大きかったろうと推察される。同じく鯉江良二さんも薫陶を受けた一人で、日根野さんの思想と理念は二人の土台となり、内田鋼一君や僕も影響を受けてきた。21世紀となり、下の世代の作家に文人趣味性は薄れつつあるが、戦後文化のサブカルチャーやモダンデザイン、古道具、雑貨などから得た感性を活かし、繋ぎ手や使い手にも波及していった。それが生活工芸と呼ばれるようになり現代まで続いている。
「美術と工芸の壁」を意識している段階で、西洋美術のヒエラルキーに囚われていることだと気付いたのは『あなた達はその外に出て、もう新しい世界を作っているのではないですか。それを大きくしていった方が良いですよ』と教えてくれた、対談相手のフランス人の言葉であった。目から鱗が落ちるとはこのことだと思ったのは、作り手や繋ぎ手、使い手までも巻き込んでシンポジウムや料理会などを仲間と共に繰り広げてきた理由が腑に落ちたからである。それからも生活工芸の定義化と文脈化をするため、何度もシンポジウムを開いてきたが、未だ定まっていないのは作家が扱う素材によって歴史や発展の仕方が違い、かつ、生活工芸の作家の多くが異分野から参入したからだろう。そして何より重要なのは、先に「生活工芸」という思想や主義があって集まったのではなく、世紀末頃から個々人が自分なりにサブカルチャーなど他分野の影響を受けて表出させた活動の総称に過ぎないことである。「それぞれが違って当たり前」の戦後文化の工芸版が、ようやく21世紀に花咲いたのだ。
今展、出品をお願いした作家達の共通点は既存の業界の価値観に頼らず、それぞれ得意としている分野に、自分の好きな物、影響を受けてきた文化を落とし込み、引き算しつつ多面的な展開が出来ることだ。日本は外来文化を受け入れながら縄文から弥生時代に移行し、それ以降も事ある毎にハイブリッドしてきたお国柄である。工芸から工芸を生むというそれまでの流れと生活工芸との相違点は、古道具坂田の坂田さんの言葉に表れている。『大切なのはどんどんと自分の感受性を柔らかく深くしてやること。そうすれば、今まで思ってもみなかったものが優しく心に入ってくる。靴やバッグ、Tシャツを着こなすのと同じように、骨董もその人に合っているかどうかという基準があってもいい。そのためには日常に自分のために使うものを一生懸命選択していかないといけない。その基準をもっていないと、骨董や古美術、工芸品に向かい合ったとたんに、いきなり誰かの評価に頼ってしまうことになる』(別冊太陽「白磁」)。業界の価値観や美意識に寄っていかず、普段の生活の中で得る感性の重要性が説かれている言葉である。
今展では鬼籍に入られた鯉江良二さんと坂田和實さん、現役で活躍されている伊藤慶二さんたちが繋いでこられた文人趣味性と戦後サブカルチャーが、どのように生活工芸にハイブリッドされてきたかを過去のDMや書籍、掲載誌等でも検証し展示します。振り返ることだけで手一杯。とても文脈化は出来ず、お恥ずかしい限りですが、ご高覧頂き、意見等を頂きたく存じます。新潮社「工芸青花」主催トークイベントも同時開催し、議論の場にしたいとも思います。
安藤雅信
25周年の節目に2階の空間を一部改装しました。今後、時々の内容により企画展示会場が自由となり、より融通無碍な百草になりました。
伊藤慶二
辻和美
皆川明
金森正起
三谷龍二
内田鋼一
矢野義憲
25周年記念展では、会期中通して展示をご覧になれるようにし、ご購入の機会をお持ちいただけるようにするため、投票抽選制を取り入れることにいたしました。
*注意事項
・作品のご購入は一部、抽選制とさせていただきます。
投票期間内にご希望の作品にご投票いただき、当選した方には後日ご連絡をさせていただきます。
・作品のご購入(ご投票)には点数制限を設けさせていただく場合がございます。
・ご投票の状況によっては、オンラインショップに作品を掲載する場合がございます。
・複数の作品にご投票いただけますが、ご購入の意思があるもののみにご投票ください。
・基本的に作品は会期終了後のお渡しになる予定です。(発送の場合は別途送料をいただきます。)
・転売目的のご購入はご遠慮ください。
・作品のご購入は先着順ではないため、前日や早朝からの待機はご遠慮ください。
防犯上、営業時間外は敷地内駐車場を閉鎖いたします。
坂田和實 「古道具もの語り」刊行記念(茶話会付き)講座・茶話会・対談
(以下、青花ホームページより転記)
日時: 10月22日(日)14:00–18:00・開場13:30
会場: ギャルリももぐさ
定員: 50名
会費: 5,000円
*同日、同会場で予定していた「茶話会|坂田和實『古道具もの語り』刊行記念|安藤雅信+中谷伸生+井出幸亮|文人・サブカル・古道具坂田」の内容を変更しました
古道具坂田の坂田和實さん(1945-2022)の一周忌(11月6日)をまえに、坂田さんの遺著『古道具もの語り』刊行記念の会をおこないます。会場は、坂田さんに多大な影響をうけ、畏敬の念も人一倍つよかった陶芸家・安藤雅信さんが代表をつとめるギャルリももぐさ。会の構成は以下です。
1)井出幸亮|古道具坂田とサブカルチャー
2)茶話会 *茶菓代は会費にふくまれています
3)安藤雅信+井出幸亮+菅野康晴|古道具坂田と生活工芸
ご参加はこちらの工芸青花ホームページよりお申し込みください。
1975年大阪府生れ。古今東西のアーツ&クラフツを扱う雑誌『Subsequence』(cubism inc.)編集長。雑誌『POPEYE』『BRUTUS』(ともにマガジンハウス)ほか、さまざまな媒体で編集・執筆活動中。主な編集仕事に『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』(新潮社)、『ズームイン! 服』(坂口恭平著/マガジンハウス)、『細野観光 1969-2019 細野晴臣デビュー50周年記念展オフィシャルカタログ』(朝日新聞社)など。『「生活工芸」の時代』『工芸批評』(ともに新潮社)などで工芸文化についての論考を執筆している。
『工芸青花』編集長。「青花の会」代表。1968年栃木県生れ。1993年新潮社入社。『芸術新潮』及び「とんぼの本」シリーズの編集部に在籍後、2014年「青花の会」を始める。担当した本に、川瀬敏郎『一日一花』、坂田和實『ひとりよがりのものさし』、中村好文『意中の建築』、三谷龍二他『「生活工芸」の時代』、李鳳來『李朝を巡る心』など。共著に『工芸批評』(新潮社青花の会)。
〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16
多治見ICより車で10分
JR多治見駅より東鉄バス13分「高田口」下車1km
tel. & fax. 0572 21 3368
google maps
百草1階: 百草サロンと百草オリジナル製品 衣料品・靴など
(22日は工芸青花主催 講座会場となるため展示縮小)
百草2階: 安藤雅信作品
ももぐさカフェ
25周年記念展限定メニューや、その他常設メニューを
お楽しみください。
11:00–18:00 (L.O 17:30) メニュー・席の予約不可
スケジュール
11.18 sat–12.3 sun 糸・布・衣 XIII「糸・布・古道具」坂田敏子 山下カオリ 安藤明子
12.9 sat, 10 sun 交種茶会(菓子屋ここのつ・安藤雅信)