三谷龍二

「僕の好きなもの」

会期(会期中無休)

2019.9.14 sat — 9.29 sun

在廊日

2019.9.14 sat

三谷龍二

1952 福井市生まれ これといって特徴のない地方の街で、これといって特徴のない少年期を過ごす
1971 芝居のポスターを作ってみないかと誘われて劇団に入る
人前に立つなど考えられなかったのに、ほんの弾みで舞台にも立つ
この時経験した大道具が、木に関わる始まりだった
1981 松本市に工房PERSONA STUDIOを開設 といっても団地の6畳一間
ここでできる事から始めよう、と木のアクセサリーを作りはじめる
1983 家具を作る友人に刺激をうけ、暮らしに関わるもの作りを考える
そうした中からバターケースや木の匙、そして陶磁器のように「普段に使える食器」として、
木の器を作り始める
1985 クラフトフェアまつもとを友人たちと始め、以後運営に携わる
この時ポスターを作ることがきっかけで、彫像作品の制作を始める(不思議に、ポスターに縁があるようだ)
1988 同じく印刷物のために絵を描きはじめる
1995 ブローチなど観光地向けの仕事に区切りをつけ、仕事を器作りに集中する
また、クラフトフェアの機関誌「MANO」(手)を刊行 編集長を2004年まで続ける
1996 食器に適した仕上げとしてオイルフィニッシュに加え、漆を始める
1998 神代楡、チークなど、 桜以外に樹種を増して製作するようになる
2001 器づくりの合間に、道具や器をモチーフにした立体や平面作品を作り始める
2003 季刊誌「住む」で絵と文による「僕の生活散歩」の連載を始める
2004 『素と形』展(松本市美術館)の企画に参加
2005 初めての本、「木の匙」(新潮社)を刊行
ずっと本が好きで、いつか出せたら、と思いながらだったので、嬉しかった
2007– ものの周りには豊かな世界がある それを伝えたい思いから、器作りと平行して本作りにも力を注ぐ
2009 絵画展を小川美術館で
2011 暮らしとものが親密に結びつくために 古いたばこ屋を改装し、小さなお店「10cm」をオープンする
2012 クラフトフェアのより上質なかたちを求めて、瀬戸内生活工芸祭(高松市)のディレクションを引き受ける
2013 各地のギャラリーが集まり、ものを見る眼の重要さをあらためて問う六九クラフトストリートを開催する
2015 6人の作家が共同で「佇まい」展(パリ)を企画する
2016 「佇まい」展(ニューヨーク)開催する
2017 「佇まい」展(ミラノ)開催する
2018 二つの展覧会を企画。ものを作ることだけでなく、工芸を「編集」のような眼で見直すことも大事だな、と思って。
2月「弱さの工芸」(銀座松屋7階デザインギャラリー1953)
11月「日本生活器物展」(台北市華山1914文創產業園區)
5月「すぐそばの工芸」(講談社)を刊行。長い間関わっている「生活工芸」のことを、自分なりに見直してみたかったことと、台湾での展覧会「日本生活器物展」の図録のような役割を兼ねたものであった。
「佇まい」展(サンフランシスコ)開催する

僕の好きな物の前と後

大学2年時に購入したアラジンの反射式ストーブを未だに愛用している。中学時代から使っているカッターナイフもあり、物持ちが良いタイプだ。かといって旅先で拾った石のように、用途もないのに溜まっていく物がたくさんある。どちらも宝物である。人は新しさに刺激を受け、生活を活性化させる生き物であるから、どんどん増えていく。みんなどうしてんだろうと、作家のお宅やアトリエにお邪魔すると作品はさておき、棚などを物色してしまう。集められた物はもちろんのこと、収納方法など秘密を知ったようで嬉しくなる。

三谷家にお邪魔した時、宝箱のような三谷さんが好きな物を並べた箱を見つけた。ミニクーパー、10cmという名のショップ、三谷さんは書く字も小さいが、愛用する車や好きな物もこじんまりしている。そして、アトリエにも宝箱のような小さい物が一杯収まった箱を見つけた。完成品なのか未完成なのかも分からないもの。なんだろうとじっと眺めていたら、三谷さんの作品のアイデアスケッチのようなものではないかと思い始めた。細部まで神経が払われていて飽きがこず、口作りやプロポーションなどのバランスの良いのが三谷さんの作られる器の特徴である。そのような細部への感性を、これらの小さい物を作っているうちに磨かれているのではないか。完成度より、その時の情感を写したものは思いも込められているから、小さくても記憶に残っていく。

今展では三谷作品の器が、なぜ飽きのこない統一感を持ち続けているのか、その秘密の一端が分かるものも作って頂いた。今まででおそらく一番大きな刳り貫き鉢やテーブル、それに宝箱の中身のような小さいものまで、大小様々。それと柳宗悦の「作物にも二つの生涯がある。作られるまでの前半生と、作られてからの後半生と」の言葉を実際に御覧頂くべく、三谷家で長い時間使われ育っている器を「後半生」の物として参考出品して頂くことにした。作品には作られる前から歴史が始まり、作られた後、人の手に渡ってからもそれが続く。その過程を想像するのがロングライフデザインかもしれないと思った。

百草 安藤雅信

インフォメーション

〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16
多治見ICより車で10分
JR多治見駅より東鉄バス13分「高田口」下車1km

tel. & fax. 0572 21 3368
http://www.momogusa.jp

ももぐさカフェ

営業時間: 11:00–18:00(17:30オーダーストップ)
会期中メニュー: ルヴァン信州上田店のパンと季節のスープのランチ(限定数)
メニュー・席の予約不可

スケジュール

9.30 mon − 10.2 wed 休廊
10.3 thu − 10.22 tue 常設展示 火水休廊 10. 22[火]のみ営業
10.23 wed − 10.25 fri 休廊
10.26 sat − 11.10 sun hou homespun + momogusa秋のコレクション