「喜びのあるプロセスをデザインという思考でどう作るか」
「つくりの回生」も6回目。その間に10年近くの時が経ち、東北大震災をはじめ自然災害、グローバル化、SNSやインターネットによる新たな発展などで、作り続けることの意味がより問われるようになった。
皆川さんに、そんな時代、デザインやもの作りに関し考えていることを尋ねてみた答えが表題である。「喜びのあるプロセス」とは素材の作り手、縫製の作り手、売り手や環境など、支えて下さっている周り全てが、そのプロセスの中で喜びを得られるようにしたいということである。喜びを得られて初めて持続が可能となる。誇りと言っても良いかも知れない。そのように生まれたものから、受け手もまた喜びや誇りを感ずるに違いない。
10年前まではまだ完結した社会の枠組で考えていても不自然ではなかったが、現在はより広範囲な思考が必要になってきた。デザインの意味が変化し、テキスタイルデザインなど具体的な「デザイン」、社会や環境まで思考を拡げた大きな「社会デザイン」の二つを構築し、繋げていくことがこれからの物作りには更に必要となってくる。
皆川さんによる社会デザインの一つの模範的な在り方が、この10年の活躍の先に、確かな良き変化を及ぼすであろう事を期待しつつ、「つくりの回生」の初心に立ち返り、その僅かな一端を担うことができればと思う。 |