ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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暮らしの造形 Il

2011  9月10日(土)〜25日(日)

11:00〜18:00

会期中無休



作家在廊日
岩田圭介 岩田美智子 9月10日(土)






百草カフェ

ルヴァンのパンを使ったランチメニューをご用意しております
恩塚正二
岩田圭介 岩田美智子
Life ー 生きることと暮らし

「どんな器作りを目指していますか」とよく問われるが、「使いやすい器です」という答えを返さないので、「エッ?」という顔をされることが多い。使いやすさだけを求めていけば、文化が持つ豊穣さを捨てることになろう。乗りにくそうなフェラーリやポルシェに根強い人気があるのは何故か。それは、車という文化を具現化しようと精魂傾けている姿勢への評価である。乗りたくなる車、使いたくなる器は使い手を挑発し、巻き込んでいくことでそれぞれの文化を深めていく。使いやすさより、使いこなす喜びの方が大きいのではないだろうか。

 文化の具現化と書くと難しくなるが、要は人やモノの可能性と潜在性を高め、こんなものがあったら面白いだろうな、欲しいなと人間の好奇心を触発することだと思う。そういう意味で岩田圭介・美智子御夫妻や、恩塚正二さんの作品に、出会ってからずうっと触発され続けている。いわゆる表現主義的な工芸でもなく、シンプル路線の手仕事でもない彼らの作品に、本人達が「Life」の中で楽しんで作っている姿が表れているからだろうか。
 先鋭的な焼き物作りをしていた恩塚さんは、受注制作や常設どころか、焼き物作りそのものも辞めて、興味の赴くモノに邁進されている。今はブリキ板のオブジェや針金細工の小物である。整頓されたきれいな仕事場で、心も整理されている。美術家からスタートされたからか、スタイルの変化も作品の内であり、結果を求めない姿は実に眩しい。
 圭介さんの焼き物も、石肌や乾いた泥のような表面を作り出すなど、素材の活かし方が焼き物の範疇を超えていて興味深い。彫刻で鍛えた目が焼き物の価値観などお構いなく、自分の好きな表情や形を追い求めているようにみえる。仕事場も住まいも作品化していて、生活を楽しくする工夫が一杯である。賛辞として、ちょっと不良っぽい佇まいが格好良い焼き物である。
 骨董市ブラのキャリアの長い美智子さんの箱や小物は、新作の骨董のような顔をしている。骨董市には「こりゃなんだ」とつい呟いてしまう、用途を離れオブジェ化したものが一杯あるが、彼女の作品にも同種の趣を感じる。その奥には隠された遊びの用途が潜ませてあり、発見したり工夫するのが楽しくなる。また集められた素材に、現代人の暮らしも投影されていて面白い。

 暮らしの造形とは、作家が切り取った日常を、生活道具や彫刻、絵画に置き換える行為を言うと前回の展覧会時に書いた。端から見た日常を切り取るだけでなく、自分たちの思う日常を文化の一つとする姿勢が彼らにはある。流行の最先端は九州からという江戸時代からの遺伝子は、今も尚生きている。
百草 安藤雅信
岩田圭介
1954

福岡県田川郡添田町に生まれる 5才、田川ジュニア・オーケストラに入団 ヴァイオリンを始める チンドン屋やサーカスなど活気にあふれていた町も、小学四年の頃、炭鉱の閉山が相次ぎ閉鎖

1966 中学校入学を期にヴァイオリンの弓を竹刀に持ち替える 以降6年間剣道にそこそこ打ち込む
1969

田川高校に入学してすぐ、親友が油絵具の溶剤の袋を被ったまま死亡 三日前「岩田、俺は画家を目指すけど、焼き物も面白そうやぞ」などと青く語り合っていた

1973 京都で一年の浪人生活 日大芸術学部彫刻コースに入学 酒代かせぎのバイトにはげむ日々 つぶれるまで飲んだ 4年時、瀬戸の河本五郎氏の作品に出会う 即座に弟子になろうと決意
1977 大学卒業後、多治見工業高校窯業専攻科に入学
1978 恐る恐る五郎先生の門を叩くも粘ること10ヶ月弟子入りを許された
1983 約5年の修行を終えて郷里に開窯 95年現住所に移転
1984 半年かけてアフリカ9ヶ国を旅する トラックの荷台でのサハラ行
未知のスケールを体感する
1985

美智子と結婚 出会いの場所はカルチャーセンター仏語教室

1986 赤坂乾ギャラリーで初個展 今でも器作りの勉強の場である原宿zakkaとの付き合いも始まる
1992 パリで制作及び個展 街の型をとるシリーズを開始
2010

フランス人陶芸家と2ヶ月間のアトリエ交換 パリで上絵プリントシリーズを始める

2011 パリ市主催の「les journees de la ceramique」に出品
岩田美智子
1956 北九州市八幡生まれ、子供の頃はノートに漫画ばかり描いていた
1979

立命館大学産業社会学部卒 音楽サークルでピアノ担当 「鈴木慶一とムーンライダーズ」の楽曲と出会う 京都の骨董市ブラを楽しむ
卒業後、小倉のグラフィックデザイン事務所でバイト

1982

初訪欧・堀内誠一氏著「パリからの旅」をガイドに美術館巡りをする Brighton(英)Firenze(伊)のアート工房でデッサン、銅版画などを学ぶ

1984

訪米 現代美術作品を多数観る 帰国後、欧米での体験と心意気のみで絵画制作を始める

1985 陶芸家岩田圭介と結婚、福岡県田川郡添田町に住む
1992

4ヶ月渡仏 20代の頃とは違う眼で美術や古いものを鑑賞 滞在中は西アフリカのフェラクティ、パパウエンバ、サリフケイタなどのライブを堪能

1993 東京日仏会館ポスター原画コンクール入選
1995 福岡県津屋崎町に住居、アトリエを移す
1997 「現代の道具展」玉川高島屋に出品、様々な作家達と出会う
2001

初個展 (ギャラリークラマー・東京)箱・平面作品を発表 以降、多素材による作品発表

2010

フランス人アーティストとアトリエ交換、2ヶ月パリで屑拾い メモ、領収書、風船、タイルの欠片、切符など捨てられていた物を素材に作品制作 最近は古紙や木箱の他にもプラスチック、アクリル、ビニール、磁石などの素材も多用 デジカメで切り撮る色々な場の写真が制作アイデアのメモ替わりとなっている

恩塚正二
大阪芸大卒業後、上京
絵画活動
30代前半、絵画制作放棄
その後、フラフラ
36才 多治見工業高校窯業専攻入学
30代後半〜50代器作り
60代前より、オブジェづくりを始める
陶・木・ハリガネ・金属板 素材で制作
オブジェづくりは制約がなくオモシロイ
アートでなく、工芸でもない中途半端な位置も気に入っている
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