ギャルリももぐさ/百草
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蚕衣無縫VIl

2011  4月29日(金・祝)〜5月15日(日)
11:00〜18:00
会期中無休

作家在廊日
真木千秋 4月29日(金・祝)
谷口隆  4月30日(土)・5月7日(土)・8日(日)



真木 千秋
スライドとお話の会
「ganga工房での織物づくり」
4月29日(金・祝)15:00〜16:00 入場無料


谷口隆
ワークショップ
「紐を織る」
4月30日(土)・5月7日(土)・8日(日)
14:00
ー16:00 会費(材料込)2000円
要予約 各会5名まで
メール・ファックスにてお申し込み下さい


2001年の春以降、1〜2年毎に会を重ねてきた「蚕衣無縫」展は、「真木千秋と百草が提案する布と衣」という副題を持ち、コラボレーションの新作発表を、真木テキスタイルスタジオのその時々の新展開とともに発表してきました。
 7回目となる今回は、これからの真木さんの核となるganga工房の仕事に加え、染織家の谷口隆さん、鍛金作家の長谷川まみさんを迎えての会となります。雄大な自然の恵みを戴いての原点に戻る手仕事ganga工房、自ら綿を育て手で糸を紡ぐところからの手仕事に徹する谷口隆さん、鍛金の長谷川まみさんには、今展に合う金や銀のアクセサリーを、話し合いを重ねながら作って頂きました。 
 
デリーの工房での織物づくりをはじめてから23年になろうとしている。インドが経済成長を遂げる中、私たちの手仕事のやりかたは同じまま。織師さんも今では熟練していて、かけがえのない相棒たちになっている。二年ほど前に縁あって、ヒマラヤの麓にgangaという小さな工房を立ち上げた。人々もぽつぽつと加わってきた。職人とも呼べないが手仕事が好きで半農半工のような生活していくという志のある人々だ。私も彼らとともに大汗をかいている。機づくりから始まり、糸や植物染料の素材探し、染め、糸紡ぎ、そして織り。インド藍を育てつつ藍の間に育つ野菜を収穫して...という日々だ。冬にはヒマラヤ山中の羊たちの毛で紡ぐ糸で布を織り、夏には近隣の蚕の繭を座繰りする。肥料や農薬なしで育つ木綿の糸や、野生の絹も織りあわせ、暮らしの道具としての布をつくりたいと思う。糸を紡いで織るだけのことなのだが、それをすることを通して暮らしや生きることを再確認できるgangaでの時間 ― それは今の私には必然だったように思う。
 
このたびは、真木テキスタイルスタジオのデリー工房と新しいganga工房からの布をあわせて、真木の今を見ていただけることを嬉しく思います。           
アッサムチェックすおう 2011年4月 真木 千秋
布を生かす           土田眞紀

真木千秋さんと安藤明子さんのコラボレーション展である蚕衣無縫展が7度目を迎える。展示されるものすべてがコラボレーションによるものというわけではないが、ちょうど十年前の第1回展以来、安藤さんがつくるサロンや上衣を通して真木さんの布について多くのことを感じ、知ることができたように思う。今回初めてお二人に加わられた谷口隆さんの布についても同じである。布だけを見ていて気づかなかったものに、サロンをはいていて気づくことがたびたびあった。安藤さんが布を生かす人だからなのだろう。
 「生かすも殺すも」という。「生かす」という言葉にはどこか物騒な響きも感じるので、「生き生きさせる」ぐらいの方が穏やかではある。けれども安藤さんと布の関係には、本当に「生かす」、生命を吹き込むというにふさわしいところがある。同時に、安藤さんの仕事もまた真木さんと谷口さんの布によって生かされているように思われるのは、お二人はお二人で、いのちある糸を紡ぐこと、そしてその糸を「生かす」ことを自分の仕事そのものとされてきたからではないだろうか。
 最近の真木さんの活動は、昨秋初めて紹介されたガンガの仕事をはじめ、ずっと続けてこられたインドの野蚕を中心とする手紡ぎの糸による布づくりから、インドの暮らしそのものに足場を置いた糸づくり、布づくりへと広がっている。谷口さんもまた自分で育てている棉からの木綿をはじめ、屑繭とぜんまいなど、異素材を合わせて一本の糸に紡ぐなど、自ら求めて出会った素材をどのような糸に紡ぎ、実用に生かすことができるか、絶えず新たな試みに専心されている。この数年、それほどの糸への強い想いが形となった布を受け止める明子さんの存在が、二人の糸と布への想いをますます強いものにしてきたように思われる。そして今回の展覧会が自然な形で成立した。
 互いにつくり手でもあり受け手でもある三人の関係は、一見したところ決して緊張を孕んだものには見えない。けれども言葉の本来の意味で真剣なものがそこには感じ取れる。室町時代に成立したいけばなは、花を「生ける」ことを、花を挿したり飾ったりすることとは全く質の異なる行為にした。一旦切り取った花を「生ける」というのは、本来不可能なことに挑むことであった。花のいのちはやはり人を超えている。蚕や棉を育て、そこから糸をとり、その糸で布を織り、その布を何かに用立てることも同じなのかもしれない。そのなかで真木さんも谷口さんも安藤さんも糸や布を「生かす」ことに真剣に向き合い続けている。一人の受け手としてそれをどう受け止められるだろうか。




真木千秋 画
真木千秋
1960 武蔵野に生まれ育つ
1980 武蔵野美術短期大学工芸テキスタイル科卒業後渡米ボストン美術館付属美術学校、マサチューセッツ州立美術大学の夜間部を経てロードアイランド造形大学(RISD)に編入
1981 ヘイスタック・クラフトスクールにてファイバーアティストのSheila Hicks のアシスタントをする
1982 ロードアイランド造形大学在学中"Textile for 80th展がきっかけで桐生のテキスタイルプランナー新井淳一氏と出会う
1985 ロードアイランド造形大学卒業後ニューヨークでフリーのテキスタイルデザイナーとして働く その間中南米、東ヨーロッパなどを訪ねる
1990 東京の山里、五日市に住み着いて創作活動をはじめる
1994 沖縄西表島の染織家石垣昭子さんと出会う
1996 東京青山に真木テキスタイルスタジオをオープンする。(〜2006)
1997 石垣昭子さん真砂三千代さんと南の島発信「現代の衣」真南風プロジェクトをはじめる
1998 真南風をニューヨークで発表
2000 南アフリカ、ケープタウン のデザインスクール・Madessaで開催された「Textile Tomorrow」ワークショップにて講師
2001

百草にて安藤明子さんと蚕衣無縫展開催

2006 東京あきる野市、真木テキスタイルスタジオの敷地内に竹林shopをオープン
2010 ヒマラヤの麓に半農半工を志す人々とともにganga工房をたちあげる
谷口 隆
名古屋市に生まれる
1976 名古屋造形芸術短期大学 染織科卒
日比谷花壇入社 フラワーデザインを学ぶ
〜2000 ヘインドネシア バリ島ヌガラ地区 綿紡ぎ・織を学ぶ
毎年3ヶ月〜6ヶ月滞在
1980 名古屋造形芸術短期大学染織科 実習助手3年間 綿の栽培を始める
1984 岐阜県伊自良村伊自良苑(障害者施設) 綿の栽培から織まで指導
岐阜県山県市に布柄工房を立ち上げる
1976 綿織 個展を始める 名古屋・岐阜・東京・福井・富山
2005 白川郷トヨタ自然学校にて 絹の織り体験を開く
長谷川まみ
1946 愛知県生まれ
1969 早稲田大学文学部修了
1971 東京クラフトデザイン金工科修了
1976 (故)長谷川一望齊春泉に鍛金を師事
1984 「鎚の仕事展」個展 ギャルリ安里 名古屋
個展多数
長谷川まみ 純金リング
谷口隆 ぜんまい絹紬糸
長谷川まみ口純銀ピン
gannga裂織 生絹布 座繰り絹
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