ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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伊藤慶二 尺度シリーズ「距離」'02
伊藤慶二 展
尺度シリーズ
2002 10月12日(土)〜11月4日(月・祝)
11:00〜18:00
10/21(月)・10/30(水)休
スライドレクチャー
10月19日(土)16:00〜
カフェを併設しております
会期中は簡単なお食事をご用意いたします
※9月〜12月まで道路工事のため迂回路よりお越し下さい。
二つのものさし
 伊藤慶二さんに肩書きを問うと「僕は陶工だ」とおっしゃる。今までの仕事を眺めてきて、その言葉を鵜呑みにする訳にはいかない。日常雑器からオブジェまで作風は実に幅広く、一つの肩書きでは表せない活動をなさっている。周りが評価する肩書きと、自称とではずれることは当然あるだろう。その作り手がどのような気持ちで作っているかということが、名乗る肩書きに表れるのだと思う。慶二さんが陶工と名乗られる思いは何であろうか。
 「技術を習得するという意味で、生涯陶工だと思っている。」とは、慶二さんの弁であるが、そこには陶工への敬意が表されている。確かに焼き物は技術的側面の強い特徴を持っている。一生かかっても焼き物の技術の全てを習得することはできないだろう。しかし、それは何も焼き物に限らず、他の素材を扱う現代の作家の多くが感じていることであり、昔のものから比べれば、確実に現代のものは技術力が落ちている。博物館に行ってみればその場でそのことは理解できる。古の陶工たちの技術の全てがもし自分にあれば、今考えているアイデアのほとんどがその日に実現してしまうわけで、確かに私も陶工でありたいと願っている者の一人である。しかし、現代において我々に求められているのは技術以外多様であり、何々焼とか土がどうの焼きがどうの、釉薬がどうのということはそれほど求めらなくなってきている。100年程前から個人作家の時代になって、慶二さんは技術力以外の何かを陶工の中に見出していないだろうか。
  「本来、やきものとは土が器に化けたものなのだから、器は、やきものに許された最高の表現方法である。・・・陶芸の接術は器で学ぶべき。オブジェとは後から生まれたもので、技術の応用による自己表現の土の思想である。・・・大体、器も造形物の一つだから、オブジェと分けることがおかしい。」(銀花128号)と慶二さんは述べておられる。かつてオブジェは前衛陶芸と呼ばれていたが、そもそもその発想が近代西洋の産物であり、50年間もそれにとらわれている事に疑問を感じる。古の陶工たちの方が自由に器とオブジェの間を行き来していた。古の作り人たちから学ぶことは実に多い。
 ところで自称の肩書きは少し理解できたとして、我々はどのように慶二さんを評したらいいのだろう。私は独立独歩のアーティストと評したい。まず一つには、社会というサークルの縁っこからユーモアを持って睨みをきかせているその立脚点。いわゆる既成の価値観に身を委ねている陶芸家とは違い、保護してくれるものなど何もなく皮膚を外気にさらすように一人仁王立ちされている。そして、個人の奥深くに熟成させている価値観は、太古から現代まで縦横無尽に駆け巡っている。それはサークルの中と外を自由に出たり入ったりすることから生まれるものである。土で何を作ろうかと考える陶芸家とは違い、土の他にも鉄やアルミなどの素材を一つ一つ手繰り寄せながら自分のものとし、その可能性を追い続けている。作品制作はシリーズ展開させながらも、一ヶ所に留まることはない。その姿勢はアーティストそのものである。
 今回の伊藤慶二展は、「尺度シリーズ」である。尺度と言えば、色々な「ものさし」のことである。個人作家の時代になった100年ちょっと前にメートル条約が制定され、個性化とは逆にそれぞれの国が持つ独自の計量基準である尺貫法などの「ものさし」は消えていった。機械化・近代化には役に立ったのであろうが、均質化して人間性は少し失われた。グローバリゼーションなど益々世の中杓子定規になっている。慶二さんに二つの肩書きがあるように、我々も二つの「ものさし」を持ったらどうだろう。一つは、自分にしか使えない絶対的な「ものさし」、もう一つは社会の規範に合わせる相対的な方便としての「ものさし」。自分の「ものさし」を持って楽しんで測っていれば、社会の規範もまた楽し。そんなことを語っているような今回の展覧会である。「杓子定規を捨て、百草へ行こう」。
百草 安藤雅信
伊藤慶二  尺度シリーズ「ものさし」 '02
伊藤慶二 KEIJI ITO 国際陶芸アカデミー会員
1958 武蔵野美術学校卒業
1978 世界クラフト会議 日本クラフトコンペ受賞
1979 '79日本クラフト展 受賞
1981 39'ファエンツア国際陶芸展受賞(イタリア)
パドヴァ国際現代美術展(イタリア)
1982 現代日本陶芸展(イタリア)日米ART&CRAFT展(金沢)
1983 個展 Braunstein Gallery(サンフランシスコ)
1984 国際陶芸展−CERAMICS×27(ブタヘスト)
1985 陶芸展−Pacific Connections(アメリカ)
1992 陶一空間の磁場(名古屋市民ギャラリー)
現代日本の陶芸−継続と変形(エバーソン美術館)
1993 現代日本の陶芸アメリカコレクション(ジャパンソサエティギャラリー)
1994 滋賀県立陶芸の森招聘講師
1995 ファエンツァ国際陶芸展受賞者展(土岐)
個展 Hetjens美術館(ドュッセルドルフ
個展 ギャラリーBOWING(ハノーバ)
個展 美術装飾美術館(ローザンヌ)
1996 I.A.C.'96日本展(佐賀県美術館)
1997 '97TAEGUアジヤ美術館(韓国)
1998 個展「1965−1998」ギャルリももぐさ(多治見)
ハワイ大学企画 EAST WEST ceramics collaboration招待
1999 個展「HIROSHIMA Series」ギャルリももぐさ(多治見)
2000 「うつわをみる」東京国立近代美術館工芸館
2001 個展 正観堂(京都)
I.A.C.展(韓国)
The オブジェ2001 Gallery NOW(富山)
2002 「新工芸精神」韓国・中国
日本ワークショップ招待(韓国)
「近代工芸−百年の歴史」東京国立近代美術館工芸館    「日本陶芸の展開」岐阜県現代陶芸美術館
個展 ARTSITES Gallery (ニューヨーク)
個展 「尺度シリーズ」ギャルリももぐさ(多治見)
パブリック・コレクション
ファエンツァ陶磁器博物館(イタリア)
エバーソン美術館結(アメリカ)
岐阜県陶磁器資料館
岐阜県美術館
アリアナ美術館(スイス)
東京国立近代美術館工芸館
世界陶磁器エキスポ財団(韓国)
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