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ヨーガン レール展 2000 9月15日(金・祝)〜10月9日(月・祝) |
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ストール '90 |
手と足元を見つめる
よく「こだわりの仕事」と書いて誉め言葉のように使うが、これに違和感を覚えるようになったのは、「こだわりは、自己弁明をする為に使う言葉だ」とある人に言われてからである。確かに辞書で調べれば、“こだわる”は“執着して融通のきかぬこと”とある。自分が自然にしていることとか、当たり前だと思ってすることに、こだわった仕事という言葉を使うことはない。他人に対しても同じことが言える。“こだわり”には他との差別化をはかる下心が見え隠れする。
うかつにも初めてヨーガン・レールの仕事を見た時、「こだわり」を私は感じてしまった。その後、レールさんとお付き合いをさせて戴くにつれ、美意識の奥行の探さに驚き、ものを作る基本的な姿勢に感嘆した。例えば今年の新製品の「手ぬぐい」。身体の水気を取るものはタオルと決めてかかっていた。しかし、そこにあったのは起毛したタオルではなく手紡ぎ・手織り・草木染めの手ぬぐいであった。ヨーガン・レールは手仕事に“こだわっている”のではなく、この方が美しくて身体に気持ちよく、基本的に自分が使いたいものを作っているだけなのだと思う。戦略など微塵も見当らない。
まず、足元を見つめるところからヨーガン・レールの仕事は始まる。転がっている石、葉っぱ。そこに表れている色。それらを拾って手に取り、目に焼き付けて脳の中のカラーリング部門にしまいこむ。次に作り手を探す。ヨーガン・レールの視界は広い。アジア全般である。作家にならなくては手仕事が続けられなくなって きている日本と違って、アジアにはまだかろうじて機械化以前のもの作りの村々がある。今回の手ぬぐいはラオスで作られた。日本でも手に仕事をという若者が増えている。ヨーガン・レールのデザインにより、そんな若者たちから、もう−1つの新製品自磁の食器が生まれた。
現代において職人仕事を活かすには、アイデアと深い美意識が必要である。ヨーガン・レールの脳の中にインプットされているそれらを、シリーズでこれから展開していただくことになった。 特に今回は保管されていた’88〜’90年のストールを展示敗売して貰い、ヨーガン・レールの美意識の変遷と広さを知るきっかけにしたいと思う。乞う御期待。 |
ギャルリ百草 安藤雅信 |
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白磁カップ 陶製椅子 |
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