ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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糸・布・衣展

1999年 4月3日(土)〜 4月18日(日)
会期中無休
11:00〜18:00
在廊日 坂田敏子:4月 3日(土)
    浦 京子:4月11日(日)
編   坂田敏子
布袋  浦 京子
衣   安藤明子
坂田敏子 麻横編ベスト
作家でない在り方
 「衣服」は今まで流行で語られることが多かった。川久保玲がラディカルな衣服を発表するようになって、流行とは別の次元で語られることも増えてきたと思うが、まだ未成熟である。衣服にはまだまだ語られねばならないことが多くある。現代美術的な川久保玲の衣服でもなく、また単なる流行として消費されるだけの衣服でもないのが、今回出品する三人の作品である。
 流行は量を作って量を売ることで成立しているが、彼女等は極めて寡作である。それに古美術や古道具がもっているいつまでも変わらない形や素材の美しさを追い求めながらも、出来上がってくるものは実に新鮮である。かといって作品然としていない。職人でもなく作家でもない彼女達の在り方。
 古美術に接していて不思議に思うのは、古い物でも軽々と国境を越え、似たようなものが時代の差はあれ、様々な国で作られていることである。風土や国境を越えた美しさが存在しているようだ。彼女達の品々も、ヨーロッパ人、アジア人、インド人、日本人とどこの誰が着ていても違和感がないだろう。国境や時代を超えて同時に存在することは、流行とはまた別の何かであり、おそらく人間の営みの中から自然に生まれてくるものである。飽きが来ず、流行に余り左右されることなく、いつまでも身につけていられる。個性を売り物にするのではなく、伝統を売り物にするのでもない。骨格のしっかりしたさりげなさとしか表現できないが、そのような生き方に共感を覚える。千利休が行き着いた無作為の作為とはこのようなことかもしれない。
 また今回、現代美術作家の菅木志雄さんの作品をバックグランドアートとして21点展示します。「もの派」の代表的な作家として活躍する菅さんには、立場が違えど彼女達と似たようなものを感じます。併せて御覧下さい。


「生活の大半がアートに埋没してしまうことは、ある意味でアートとは無関係に生きると同じように、楽なことと思われます。“中間に位置する”、あるいは“境目”あたりをウロウロしている状態が、いちばんいいのではないか・・・。・・・内容の一部をいうならば自然と人為的な空間の“境目“ということも含まれています。」(菅木志雄「疾走のまわり」)
                      百草 安藤雅信

浦 京子  布袋
 
菅 木志雄  円鏡 '91
安藤明子 黒白薄物地アオザイ風上衣
坂田敏子
1947 宮城県生まれで、すぐ東京の渋谷に移りました
1969 上智大学外国学部ポルトガル学科卒
一年間グラフィックデザイナーのもとで修行
1970 広告代理店でパースを覚える
欧州のインテリアショップ巡りをする
(イタリア・デンマーク・パリ・ロンドン・オランダ)
1977 古道具坂田の一角に子供服mon sakataオープン
1983 目白通りに婦人服mon sakataオープン
1994 玉川高島屋「現代の道具展」に参加
1996 安藤御夫妻に出会う
1997 20周年を記念して、この三人の「糸・布・衣展」を新装mon sakataに於いて開催
浦 京子
 身近な生活風景の中に藍染やハタ織りが溶け込んだ山陰の町、倉吉に生まれ育ちました。静かにじっと見つめていたことの結果が、今、私の記憶の中に残ったのでしょう。
 布が好きで、特に古布との思い出もさまざまです。日常の暮らしの中で大切に使い込まれた布、古いものならではの風合いからは、その時代や文化を重ねてみることが出来ます。日本の風土に合う要素は気持ちを楽にしてくれます。子育ての傍らで好きな針仕ごとは、蚊帳を使った袋づくりに始まり、出来るだけ布を切らないシンプルな形にこだわり続け、「畳む」「重ねる」「縮める」「結ぶ」のテーマで創作しています。袋の創作過程の中で、面白いと思うことは、最初からデザインを決めているわけでなく、布と遊ぶことによって、自然に布が語りかけてくれます。布と布との質感、色、形の息が合った時、動いている指先がピタッと止まります。創作している上での不思議な一瞬の間です。このようなことですから、一つとして同じものを作ることは出来ません。これから先、又、どんな布との出会いがあるか楽しみです。
安藤明子
1965 兵庫県西宮市生まれ(大阪・東京・千葉・名古屋、引っ越す 子供の頃より、ガラクタを利用した工作・縫い物などじっくり考え工夫することを好む)
1986 南山短大英語科卒
1988 ギャラリーの仕事に携わる 着物・古布を集め始める
お茶を習う
1992 結婚 田舎暮らしを体験し、日本の自然な衣生活を模索し始める
この頃から主人と骨董を集め始め、雑誌で古道具坂田の存在を知り強く惹かれる
1994 ’衣’原案完成
1996 坂田さん御夫妻に初めてお目にかかる
1997 mon sakata「糸・布・衣展」に参加させていただく
1998 ギャルリ百草を、夫の安藤雅信と始める
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