ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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糸・布・衣 VI mon Sakata A[azy:r] 安藤明子

糸・布・衣展 VI

2009
4月25日(土)〜5月6日(水・祝) (会期中無休)
11:00〜18:00 (25日はショーの為 17:30まで)

作家在廊日:4月25日(土)

FASHION×SESSION 『up set up』

TO 22〔イワタトシ子/正木なお〕のプロデュースにより、ファッションショウを催します

映像/青木兼治  バイオリン/来島里奈
サウンドプログラム/松井伸倍軌  サックス/平尾義之

日時 : 4月25日(土) 会場 18:00  開演 18:30 終演 19:30頃
場所 : 百草  入場料 : 2,500円  要予約 限定100名
Phone 0572-21-3368  FAX 21-3369
e-mail galerie@momogusa.jp

今展で第6回目を迎える「糸・布・衣展」は、1997年mon Sakata20周年新装記念の展覧会としてスタートし、2回目以降は百草での企画展として、坂田敏子・安藤明子の2人にゲストを加える形で続けて参りました。今展では、先回に引き続き、「記憶に残る服・いつでも新しい感覚に出会える服・アーティストによる服・消耗品ではない服・アントワープを中心とした良質な服」の古着を扱っているA(アズィール)を加えた展示を致します。
水と空気

 なぜ水や空気は無味無臭、無色透明として感覚されるのか。長らく疑問に思ってきたが、あえて正解を探し求めてきたわけではなく、未だ答えは得られていない。ごくあたりまえのことのようだが、すべての人がそれなしには生きていけない水と空気が、ともに無味無臭かつ無色透明である(あるいは感じられる)というのは、考えてみると不思議なことである。
 
もちろん人は水や空気だけでは生きていけないし、人が好むものには強い香りや味を持つものも多い。気候風土によってそこに暮らす人々が何を好むかは変わる。水が透明でない土地もある。硬水と軟水の区別があり、おいしい水はおいしいと感じられる。加えて近代以降は天然自然のものに加え、人工の色や香り、味覚をも無限に追求してきた。これは人が他の生物から外れた「人」であることの宿命なのかどうかわからないが、一旦人工の刺激を覚えた人間はあと戻りできず、より刺激の強いものを求めざるを得ないようである。そうしたなかにあっても、水と空気が無味無臭であることは、人が地球上で生きていくうえで何か必然的な意味をもつ事柄であるように思われてならない。
 
一方で人工の強い刺激を求めつつ、無味無臭の水や空気を必要とせずにいられない人間の不思議は、これほど多彩な百花繚乱の服の洪水のなかで、坂田さんと安藤さんの服が控え目に、けれどいよいよ確かに存在感を発揮していることとどこか通じているのではないかと思う。二人の服は、色も形も着るほどに味わいが深く、決して無味無臭ではない。絶妙の名づけがされたmon sakata製アームウォーマーの色のコンビネーションや、それぞれに美しい色名で呼ばれるももぐさ定番サロンの多彩さには脱帽した。ただそこに遊びは感じられても、「シンプル」なデザインにも付き纏う人工の臭みはない。
 
「本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない」。日本を代表する工業デザイナーである柳宗理は、自らのデザイン論のなかで「つくり出す」デザインと「生まれる」デザインを峻別している。非常に厳密にいえば、女性が子どもを「産む」場合以外、人から何かが「生まれる」ことはない。なかでも近代以降に登場した「デザイン」という領域は、材料も含めほとんどが人間の業にかかり、「人工」そのものといっていい世界である。柳宗理はそのことを重々承知の上で、デザインという営みの最終的な目標、あるいはひょっとすると到達不可能な理想として、「生まれる」という、本質的には自然の営みにしか宿し得ない性質を掲げているのではないか。
 
日頃親しんでいる坂田さんと安藤さんの服についてあらためて思うとき、こうしたことを考える。二人の場合、恐らくそれほど明確に「つくり出す」ものと「生まれる」ものの違いを意識されているのではないだろう。が、先に述べた存在感は、この違いに関わっているような気がする。そもそも二人が現在の仕事に至るまでの道筋も仕事への関わり方も、私が知るかぎり通常の「デザイン」の世界とは異なっていて、職業として服づくりを始めたわけではなく、専門教育を経ていない発想のあり様には先例もない。ただそれぞれに自分にとって必要なものとしていつの間にか服づくりを始め、日常の経験を重ね、少しずつ自らの感性の鉱脈を掘りさげていくなかで、それぞれのやり方にたどり着いた。そして、多くの人が手にし、身に付けるようになったいまもなお、各々の日常から決して離れない服づくりが続いている。
 
こうして世の移り変わりや流行とは無縁である反面、坂田さんも安藤さんもひとところに決して留まってはいない。それどころか、ももぐさでの二人展(ときには三人展)が始まって以来、二人の仕事は実は大きく変化してきたように思う。それでいてその骨格はなんら変わっていない。定まった形をもたない水と空気が、そのもの自体の性質は不変でありながら、風となり川の流れや渦や波となって、おのずからに変化し続ける姿もまた二人の服のあり様に重なるようである。
                     土田眞紀

坂田敏子
1977
1983
1997

1999
2001
2002

2003
2004
2005




2006
2007
2008

2009
古道具坂田の一角に子供服mon Sakataを始める
独立して目白通りに移り、大人の服が中心となる
新装mon Sakataに於いて20周年記念「糸・布・衣展」
浦京子・安藤明子・坂田敏子
「糸・布・衣展」二回目の展覧会を百草で開く
「服展」(糸・布・衣展?) 坂田敏子・安藤明子 百草にて
25周年を記念して「Sanmarutenjiku Fit T」を出版
(編集・山口デザイン事務所、撮影・奥秋貴子)
「レンテンの藍」展(mon Sakataにて) 安藤明子のサロン出品
「糸・布・衣展IV」 坂田敏子・鈴木かつ子・安藤明子 百草にて
「レンテンの藍II」 百草にて
建築家の中村好文さんに誘われ「欲しかったモノできた」展のメンバーに参加。家具のデザインをする
本「Sanmarutenjiku Fit T」展 やまほんにて
掲載されている物に加え、新たに残糸で遊んだものを展示
「糸・布・衣展V」百草にて
30周年記念「dhuta bag30-それぞれのdhuta bag-」展
「坂田さんの引きだし」展 沼田塾にて
30年間のダイジェスト版インスタレーション
「as it isを編む・つなぐ」展開催中(3/6-9/6)museum as it isにて
[TO 22:two-twentytwo]
●イワタトシ子  ●TO 22  ●正木なお
1958
大分県に生まれる
             1973 静岡県にて生まれる
1985 友人と名古屋初デザイナーズブランド古着店を始める
1990 独立、[アズィール]を立ち上げる
      1996 イワタトシコ、正木なお 出会う
          2000 正木なおアズィールを手伝う
          2004 名古屋雲雀ヶ丘に国やジャン
                ルを超えて美しい物を集めた
                店[生活装飾Life deco]を始める
          2005 [ギャラリーfeel art zero]を開廊
          2006 サロン・ド・テ アルエットゥ
                をオープン
      2006 更に自由な形態を求めてノンジャンルの
           企画ユニット[to22]を結成
              2008 名古屋、車道三光ビル1Fに
                 ギャラリーを移転
      2008 三光ビル2Fにセレクトショップ[22]を
           立ち上げる
2008 11月[アズィール]を[A]と改め三光ビル4Fでスタート
安藤明子
1965
1977
1992
1994
1997
1998
2006

兵庫県西宮市生まれ
4回目の引越しで名古屋に定住
安藤雅信と結婚、岐阜県多治見市での生活が始まる
古今東西の布を素材に衣服の製作を始める
mon Sakata 「糸・布・衣展」に参加
夫と「ギャルリ百草」を始める
『安藤明子の衣生活』(主婦と生活社)を出版

ももぐさカフェ

期間中はルヴァンのパンを使ったランチをお召し上がりいただけます。
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