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内田鋼一 加彩壺’06

内田鋼一展(うちだこういちてん)

2006
9月16日(土)〜10月1日(日)
11:00〜18:00(会期中無休)

在廊日16日(土) 17日(日) 18日(月)

ミニシンポジウム テーマ「芸術と道具」
赤木明登・内田鋼一・猿山修・安藤雅信
日時 9月17日(日)17:00〜18:00
場所 百草 参加無料

伊賀 和菓子工房「まっちん」出張店舗
9月17日(日) 24日(日) 10月1日(日)11:00〜
伊賀より町野仁英さんに来多していただき、内田鋼一さんの器で
お出しいたします。
ももぐさカフェ
コーヒー、カフェオレ、ジンジャーエール、ルヴァンのパンプレート など
未完の完成
 以前タイで友人に日本の歌を唄ってくれと懇願され、とても困ったことがある。童謡それとも民謡、いや西洋の影響を受けていても演歌か歌謡曲なら良いかと頭の回路は混線するばかりで、結局「知床旅情」を演歌風に唄ってその場をしのいだことを覚えている。日本人ほど日本論が好きな民族はいないと言うが、それは単一民族の島国で、普段自分が日本人であることを意識していないからであると思った。
 明治以降日本人が意識してきたのは勿論西洋である。美術全般に話を絞っても、日本固有のものだと思われている「日本画」は、洋画を意識して岡倉天心らが考え出したものであるし、焼き物の世界も個人名を表に出し、前衛陶芸はもちろんのこと、伝統工芸にしても作品は自己主張と技巧を込め、より高い完成度を求めていったのは西洋化の流れである。それはアニメという日本の特殊な財産を西洋の文脈を借りてより技巧的に作品にする村上隆にも引き継がれていると思う。

 明治以降の陶芸の文脈で内田君について考え始めると、突然見失ってしまい、先と同じように回路が混線することがある。彼により多くを求める人は、彼が圧倒的な力量を持ちながらもスタイルの完成を求めず、自己表現の完成度の高さや追随を許さない技巧を追求しないことが理解できないであろう。それは世界中の焼き物の現場を旅して、縄文以降豊富な歴史を持つ日本人にとっての焼き物とは何かと考えた、彼なりの思考と行動が見えていないからだと思う。そういう私も以前彼に質問をしたことがある。「作品の完成度についてどう思う」と。彼は「それは自分で限定することじゃなく、お客さんが時間を掛けて選んでいけばいいんじゃない」と答えた。まるで陶工と茶人の関係を求めているかのようだ。西洋かぶれの私に一撃を食らわすその一言は、技巧や表現に固執することによって失ってきたものが、本来の「陶芸」の魅力であることを気付かせてくれた。
 「陶芸」の歴史は明治から始まって100年ちょっと、それ以前の焼き物は、工芸品ではなくすべて道具であった。道具は鑑賞を目的とせず、作った時点で完成する工芸品と違って、人の手に渡って使われることで完成する。使い手が空間との調和を図ろうとする時に、作品のこれ見よがしの技巧と表現は大抵邪魔をする。道具が持っている人を包み込むような大らかさが彼の作品にはある。勿論、西洋の影響によって、作家の地位は向上し、過酷な生活からも逃れられ、ほとんどの作り手が恩恵を被っていることを認めての話である。しかし、西洋の後追いではなく、日本を代表する芸術の一つが「陶芸」であるからこそ、近代西洋の次を見つめていくのが作家の仕事であり、それを実行しているのが内田君の仕事である。

 今展は、彼の道具観を楽しめるよう「うつわ」というテーマで制作して貰った。悠久の焼き物の歴史を常に見つめている内田君のことだから、食器という狭い範囲では制作してこないだろう。彼がどんな球を投げ返してくれるかとても楽しみである。
安藤雅信

内田鋼一(うちだこういち)

1969 愛知県名古屋市生まれ
1990 愛知県立瀬戸窯業高校陶芸専攻科修了

三重県四日市市の製陶所にて轆轤の賃挽き職人として働く

以後、海外(ヨーロッパ・東南アジア・西アフリカ・南米等)の窯業地などに滞在し、現地の町・村・部族・家族・個人・・・それぞれのヤキモノをつくる環境・状況を目の当たりにし、そこから生まれてくるモノの必然性や成り立ちを学ぶ
同時に、それぞれの国・地域の古窯や古陶・土器などの調査に携わり、窯の構造や作り方、焼成方法・土など原材料の造り方や成型方法など、ヤキモノを造る上で根源的かつ初歩的な事を知る

1992 三重県四日市に移り、独立
1993 個展を中心に活動
2000 「うつわをみる 暮らしに息づく工芸」展(東京国立近代美術館)
2003 「UCHIDA KOUICHI」展(三重県 Paramita Museum)
作品集「UCHIDA KOUICHI」を求龍堂より刊行
2004 静謐なかたち「内田鋼一 Uchida Kouichi」works:2003-2004
(富山県 4th MUAEUM RIVER RETREAT 雅楽倶)

2006 「陶芸の現在、そして未来へ Ceramic Now+」(兵庫県 兵庫陶芸 美術館)
「SOFA」(ニューヨーク)

スペイン・イギリス・アメリカ・ベトナム・タイ・韓国・インド・西アフリカ・南米等で制作及び発表

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