ギャルリももぐさ/百草
作品/百草
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三谷龍二  黒漆ボウル '02
三 谷 龍 二 展
2002 9月14日(土)〜9月29日(日)
11:00〜18:00
会期中無休
スライドレクチャー
9月14日(土)16:00〜
作家在廊日
9月14・15・16日
期間中の平日のみカフェを開設
季節の野菜を使った食事も限定20食ご用意します。
※9月〜12月まで道路工事のため迂回路よりお越し下さい。
現代物作り考
 職人受難の時代となってきた。ハウスメーカーの家作りは職人要らずだし、企業の下請け町工場も安値攻勢によって日本で作ることさえ難しくなってきている。企業は自らの生命維持の為なら何でも見捨てていくが、地球人口60億人の生活を考えれば、企業の機械による大量生産は否定できない。物の良し悪しは手作りであるか機械生産であるかによって決まるのではなく、作り手の動機と姿勢によって決まる。
 戦後あらゆるものが工業化されていく中、柳宗悦や小山冨士夫らが手作りの職人や作家を支えてきた。そして60年代のクラフト運動。しかし、それらは工芸化して生き長らえ、手作りの生活道具という産業形成へは至らなかった。戦後生まれの人達のヒッピームーブメントが終わり、全国の田舎に散らばって生活の糧とし手で物を作るようになったのが70年代。その蕾が花として咲き始めたのが80年代。そして90年代にはギャラリーがどんどんオープンした。21世紀になっては、20代後半から30代前半の若者がギャラリーを始めてきている。それだけ作家が加速度的に増え、工芸とは一線を画し工業化に対抗する文化の一つとして手作りの生活道具が定着しつつあるということであろう。それに寄与してきたのが三谷さんである。
 三谷さんは木工作家であり、また17年前から松本でクラフトフェアを主催するメンバーの一人である。一貫して作り手が生活者の視点から物を作ることを提唱しておられる。そこで作家や職人が集い勇気づけられ、また多くの消費者と関わることで生活者の視点を身につける。作家がまみえ、世代の差を飛び越えて手で物を作る技術の継承もされていく。特に旧来の職人達が受けた刺激は大きいだろう。問屋を通さず、直接ギャラリーや使い手と付き合うようになったことで、職人の新しい生き方を感じ取っているのではないだろうか。
 ただここで私が最近感じるのは、作り手の裾野が広がったことで、アートとクラフトの違いを認識していない人が増えているということである。(アートとクラフトの違いについてはまた別の機会で)三谷さんは主幹する「MANO」誌で、クラフトマンの在り方を暗に提示されている。「素材を捩じ伏せるように作るのではなく、作るという行為を小さなものにすること。その事によって初めて、素材はその無垢の姿を開き、私たちは<自然の恩恵を>受ける事ができる。」「‥・生活者としての自分の視点から、自分たちが欲しいと思うもの、あるいは見たいと思うものを作っている‥・。」ここには、三谷さんが作られる作品が語るように、個性を求めず、素材を如何に活かすかによって形や機能が生まれてくるかが語られている。個性を求めないことによって生まれる個性。物作りが宿命的に持つ難題中の難題の解決の糸口を、三谷さんは手に入れている。
 妙に表現的であったり、技術が作為的であるなど個性の間違った表出は、飽きが早くきて長くは使ってもらえない。手作りということに甘えているような作品を使うくらいなら、機能に撤した機械生産の物の方が心地よい。今作り手に大きく欠けているものは一体何であろう。それは「‥作るという行為を小さなものにする‥」という謙虚さと、作ることへの愛情ではないだろうか。私は三谷さんの中にそれらを強く感じるのである。
百草 安藤雅信
三谷 龍二 RYUJI MITANI
1952 福井市生まれ
1971−77 劇団に所属(京都)大道具、宣伝美術、役者などを経験
1981 松本市に工房PERSONA STUDIOを開設 木工デザイナー兼製作者として工房を主宰
1983 食の器を作り始める
1985 クラフトフェアまつもと開始  発足より運営に携わる
宣伝美術を担当したことから 木で彫像作品の製作を始める
1995 植物オイル仕上げに加え、漆の器を作り始める
クラフトフェア機関誌「MANO」(手)年一回発刊 編集長を務める
2001 器づくりの合間に、道具や器 をモチーフにした立体や平面作品を作り始める
Exihibition
木の器展
1993− MAKI TEXITILE STUDIO/桃居/ギャルリ灰月
彫刻展
1986− 槐多庵/Lisn/ギャラリーブリキ星
三谷龍二 '02 ピエソグラフ版「くろいうつわ」より
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