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FUNKの周辺 7  菊地雅章

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今月7日、ジャズピアニストの菊地雅章さんが亡くなった。マイルスと共演し、一時でもアメリカの音楽シーンの先頭に日本人でいたと思える唯一のキーボード奏者だったと思う。僕の中で1970年代の日本のジャズシーン・トップ3は日野皓正・菊地雅章・渡辺貞夫だった。ナベサダはアメリカ留学帰りで、日本のジャズを盛り上げようという意志があったので、ラジオやライブで明るいジャズを日本で披露していた。ヒノテルとプーさん(菊地)は日本ジャズシーンに満足できず、アメリカに渡っていった。70年代後半、東京の親戚の家でニューヨークに滞在するヒノテルからの手紙を見せて貰ったことがある。涙で文字が滲んでいた。
本場で活躍したいという気持ちは、今の大リーグの野球選手を見てもわかる通り、日本人がずっと持っているメンタリティーの中に潜んでいる。99.9%の日本人が諦めてしまう中、実際に渡って成功した人は実に少ない。日野さんは今でもニューヨークで踏ん張っている。1981年に出たこのアルバムは、日本人もここまで来たか感慨深かった。

1970年代は保守的なジャズの人気が下り坂になり、クロスオーバーそののちフュージョンと呼ばれるようになったジャズが台頭してきていたが、4ビートが16ビートになり、アコースティックがエレクトリックになっただけで中身は薄かった。一般的にはロックの影響で楽器もビートも変化したが、マイルスがエレクトリックでやりたかったことは表面的なことだけでなく、黒人の中に沸き上がってきたファンク魂を音楽に注入すること。それには楽器を持ち変え、リズムも変えなくてはならなかった。菊地さんはその現場に立ち会い、触れたのだと思う。しかし、それは長くは続かず瞬間の出来事だった。良い音楽がマーケットで成功するとは限らない。自分の居場所を見つけることは実に難しい。


コメント:7

cafe-shiroiro/ 橋本 崇 15-07-20 (月) 1:13

菊地雅章さんといえば、1970年のサンケイホールでのライヴ「in concert dancing mist」が特に好きで、というかそれしか所有していないだけなのですが、このアルバムは先ほど初めて聞きました。
正に一曲目Circle/Line はマイルスの「オンザコーナー」を通過したような中毒性の高い変拍子の長尺ループ。畳み掛けるように先へ先へ、次へ次へ迫っていくグルーヴ感。こんな素晴らしい作品が日本にあったとは。。。。
知らなかったことを恥ずかしく思います。CDでリマスター盤を早速注文しました。

Masanobu Ando 15-07-20 (月) 1:39

橋本様
ライブ盤があったとは、逆にそれを僕は知りませんでした。早速聴いてみます。タイトルからマイルスを意識しているような。スストは飽きのこないアルバムです。また感想をお聞かせ下さい。

加藤隆男 15-07-20 (月) 18:59

「中身が薄かった」・・・・はっきりと言っちゃってますね。 逆に精神性やイデオロギーから解き放たれ音楽だけを突き詰めたいと言う部分でMusicianがFusion系に流れていったという部分があるのでは・・・・。 ロックやフォークのメッセージ性やジャズの精神性に疲れて・・・と言う部分

Masanobu Ando 15-07-20 (月) 19:07

橋本様
インコンサート、プレミアが付き、高くて手が出ません。いやはや。

Masanobu Ando 15-07-20 (月) 19:15

加藤様
「解き放たれ・・・」確かに70年代には60年代って何だったのという空気がありましたね。ヘルメットとゲバ棒持っていた連中が、レコード会社の中枢に入っていったわけだし。政治や思想はいいから楽しもうという雰囲気が一杯ありましたね。
 これからフュージョンの名盤を探っていきたいと思っていますが、なかなかないものです。あの当時新しく聞こえたものが、当たり前としか聞こえてこないんです。70年代に青春を送って者は、60年代に憧れとコンプレックスがあるので、同時代物に厳しくなってしまうような気がします。

cafe-shiroiro/ 橋本 崇 15-07-21 (火) 1:31

インコンサート、CDのプレミア(amazon)はやりすぎですね。おそらく廃盤の為一時的なものですぐにまっとうな価格で出るのではないかと思いますが、僕はアナログで所有していますので、今度CDにコピーしてお持ちします。このアルバムのジャケも素晴らしいと思います。菊池さんの最高のポートレイトだと思います。

別件ですが、この前安藤さんに頂いたスライのレアトラック集(リッスン・トゥ・ザ・ヴォイス~スライ・ストーン・イン・ザ・スタジオ1965-70)は最高でした。知らない曲多数でドキドキしました。収録曲M24. ライフ&デス・イン・G & A (Pts 1 & 2) (ジョー・ヒックス) は思わず、7inchで探して買ってしまいました。本当に素晴らしいものを教えて頂きありがとうございました。

Masanobu Ando 15-07-22 (水) 20:52

橋本様
楽しみにしております。
それにしてもスライ関係をそのように掘り下げていくとは流石ですね。
喜んで頂けて嬉しいです。

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